「インターに入れて後悔した」という言葉を見かけて、願書を前に手が止まっていませんか。
先にお伝えすると、インターナショナルスクールで「後悔した」と言われる理由の多くは、学費の重さ、日本の中学・高校への進学の制約、日本語の読み書き、思っていた環境との違い、親の負担のどれかに当てはまります。そして、その多くは入学前に確認できることです。
30秒でわかる早見表後悔につながりやすいことと、入学前に確認できること
この記事でわかること
- インターナショナルスクールで「後悔した」と言われる理由と、入学前にできる予防策
- メリット・デメリットの整理と、「日本人だらけ」「日本語が育たない」という不安への向き合い方
- わが家に向いているかを判断するためのチェックリスト
「子どものためなのか、自分の憧れなのか」と迷っている方にも、判断の手がかりになるようにまとめました。
01インターナショナルスクールで「後悔した」と言われる主な理由

「インターはやめとけ」「意味ない」「現実は厳しい」といった言葉の背景には、いくつかの共通したパターンがあります。どれも、インターナショナルスクールそのものが悪いというより、家庭の状況や目的と、学校の仕組みが合っていなかったことから起きているものが多いです。
費用の重さが長く続く
インターナショナルスクールの学費は、学校によっては年300万円を超え、入学時の一時金や施設費、スクールバス代なども別にかかります。さらに、小学校・中学校の9年間は国の補助がなく、自己負担が前提です。
入学時は払えても、きょうだいの進学や収入の変化で負担が重くなり、「続けられるか不安」と感じるようになるケースがあります。学費の総額と家計の考え方は「学費」の記事、補助の範囲は「無償化」の記事で詳しくまとめています。
あわせて読みたいインターナショナルスクールの学費はいくら?年間費用の相場と親の年収目安 あわせて読みたいインターナショナルスクールの学費は無償化の対象?幼児・小中・高校別の補助金と条件
一条校でない場合の就学義務と進学の制約
インターナショナルスクールの多くは、学校教育法上の「一条校」ではありません。文部科学省は、日本国籍の子どもを一条校でないインターナショナルスクールに通わせても、就学義務を履行したことにはならないという立場を示しています。
このため、途中で日本の中学校・高校に移ろうとしたときに、手続きや受験の資格の面で想定外の壁にぶつかることがあります。「合わなかったら日本の学校に戻ればいい」と考えている場合は、入学前に扱いを確認しておくことが大切です。
あわせて読みたいインターナショナルスクールの一条校とは?一覧と義務教育・卒業資格の扱い
日本語の読み書き・日本の教科の学習が不足しやすい
インターナショナルスクールでは、授業の多くを英語で受けます。日本語の授業がある学校もありますが、時間数は日本の学校の国語より少ないことが多く、漢字や日本語の文章を読み書きする力は、家庭で意識して育てないと伸びにくい傾向があります。
また、日本の学校で学ぶ社会科(日本の地理・歴史)などの内容も、同じようには学びません。日本の中学受験や国内の大学進学を考える場合は、この差が負担になることがあります。
「意味ない」と感じる背景:目的があいまいなまま入学した場合
「インターに通わせたけれど意味なかった」という検索の背景には、何のためにインターを選ぶのかがはっきりしないまま入学した、という事情があることも考えられます。
- 「英語が話せるようになれば」と思っていたが、日本語との両立に悩んだ
- 「のびのびした教育」に期待していたが、子どもが環境になじめなかった
- 進路を決めないまま通わせ、中学進学の段階で選択肢に迷った
英語力、教育方針、将来の進路のどれを優先するかによって、インターが合うかどうかは変わります。目的がはっきりしていれば、同じ学校でも「意味があった」と感じられることは多いはずです。
02インターナショナルスクールのメリット
後悔の理由がある一方で、インターナショナルスクールには日本の学校では得にくいメリットもあります。メリットとデメリットを両方見たうえで、わが家の目的に合うかを考えましょう。
英語で学ぶ環境と、多文化の中での経験
インターナショナルスクールの大きな利点は、英語を「教科」としてではなく、「学ぶための言葉」として毎日使う環境にあることです。算数も理科も英語で学び、友達との会話も英語が中心になるため、英語に触れる量は英会話教室などとは大きく違います。
また、さまざまな国籍や文化的背景を持つ友達や先生と過ごすことで、考え方や習慣の違いを自然に受け入れる経験ができます。
探究型・発表型の学び
多くのインターナショナルスクールでは、IB(国際バカロレア)や英国式・米国式のカリキュラムを取り入れ、自分で問いを立てて調べる探究型の学びや、意見を発表し合う授業を重視しています。正解を覚えるより、考え方を表現する力を育てることに重きが置かれることが多いです。
カリキュラムの種類や授業の進め方は、こちらで詳しく解説しています。
あわせて読みたいインターナショナルスクールとは?普通の学校との違いと授業内容(IB・ケンブリッジ)
海外大学・国際的な進路への接続
IBのディプロマなど、海外の大学への出願で使える資格や成績を得やすいのもメリットです。海外の大学への進学や、将来国際的な環境で働くことを視野に入れている家庭にとっては、進路の選択肢が広がります。高校段階の進路と大学進学については、こちらでまとめています。
あわせて読みたいインターナショナルスクールの高校|一覧の見方・全寮制と卒業後の大学進学
03デメリットと問題点(入学後に起きやすいこと)
入学前の確認とは別に、入学してから気づくことが多いデメリットもあります。
日本の学校・地域とのつながりが薄くなる
インターナショナルスクールは通学範囲が広く、同じ地域から通う子どもが少ないことが多いです。そのため、近所に同じ学校の友達がいない、地域の行事や子ども会に参加しにくいなど、住んでいる地域とのつながりが薄くなりやすい面があります。
保護者の負担(英語でのやりとり、行事、送迎)
学校からの連絡や面談、保護者向けの説明会は英語で行われることが多く、保護者にもある程度の英語でのやりとりが求められます。また、行事やボランティア活動への参加、スクールバスがない場合の送迎、お弁当づくりなど、日常の負担が日本の学校より大きく感じられることもあります。学校生活の具体的な違いは、こちらで解説しています。
近日公開インターナショナルスクールの制服は?持ち物・ランチ・夏休みまで学校生活を解説
教員や友達の入れ替わりによる環境の変化
インターナショナルスクールには、海外赴任などで数年ごとに国を移る家庭の子どもも多く通います。仲の良い友達が学年の途中で転校したり、海外から来ている先生が数年で入れ替わったりすることも珍しくありません。変化に強い子にとっては刺激になりますが、環境の変化が苦手な子にとっては負担になることもあります。
04「日本人だらけ」は本当?学校ごとの違いと確認方法
「インターに入れたのに日本人だらけで、休み時間は日本語ばかり」という話を聞いて、不安になる方もいるかもしれません。
日本人の割合は学校によって大きく違う
在籍する子どもの国籍の構成は、学校によって大きく違います。外国籍の家庭が中心の学校もあれば、日本人の家庭の割合が高い学校もあります。在籍構成を公表している学校もありますが、公表していない学校もあるため、ネット上のうわさではなく、学校に直接確認することが大切です。
日本人の割合が高いこと自体が、悪いわけではありません。日本語のサポートが受けやすい、家庭同士の情報交換がしやすいといった面もあります。
確認したいのは「割合」より「英語の環境と支援」
英語力を伸ばしたいという目的で考えるなら、日本人の割合だけでなく、次のような点を確認するのがおすすめです。
- 校内で英語を使うルール(English Only の方針など)があるか
- 英語が母語でない子どもへの学習支援(EAL・ESLなど)の体制
- クラス編成で、言語や国籍のバランスを考えているか
- 見学時に、休み時間や授業中に子どもたちが何語で話しているか
日本人の子どもの入学条件や、面接・英語力の目安は、こちらで解説しています。
あわせて読みたい日本人でもインターナショナルスクールに入れる?入学条件・面接・英語力
05日本語は育つ?母語・学力の不安と家庭でできること
インターナショナルスクールを検討する家庭の多くが気にするのが、日本語の育ちです。
日本語の読み書きは「放っておくと育ちにくい」
家庭で日本語を話していれば、会話の力は保たれることが多い一方で、漢字や文章の読み書きは、意識して時間をとらないと年齢相応に伸びにくい傾向があります。
家庭でできることの例には、次のようなものがあります。
- 学校に日本語の授業があるか、どのくらいの時間かを確認する
- 週末に日本語の補習授業校や教室に通う
- 毎日の日本語の読書時間、漢字の練習時間を決める
- 日本語の本や新聞を家庭に置き、家族で話題にする
「ダブルリミテッド」という懸念について
「ダブルリミテッド」とは、英語も日本語も年齢相応に育たない状態を指して使われることがある言葉です。ただし、この言葉の使い方や捉え方には専門家の間でもさまざまな議論があり、「インターに通うとこうなる」と言えるものではありません。
子どもの言葉の育ちには個人差が大きく、家庭で使う言語や学校の環境、子どもの性格などさまざまな要素が関わります。どちらの言語も伸び悩んでいるように見えて気になる場合は、学校の先生や、言語発達に詳しい専門家に相談してみてください。
「勉強しない」「学力が低い」と見えるのは評価方法の違いの場合も
「インターの子は勉強しない」「学力が身につかない」と言われることがありますが、これは学び方や評価の方法の違いによることもあります。インターナショナルスクールでは、日本の学校のような一斉のテストや宿題のドリルが少なく、プロジェクトや発表、観察による評価を重視する学校が多いためです。
学びの様子を知りたいときは、学校から届く評価の記録(レポート)や、作品・発表をまとめた記録を見て、先生との面談で「どんな力が伸びているか」「どこを家庭で支えればよいか」を聞いてみましょう。
日本語と英語の両方を育てる環境づくり
日本語と英語の両方を育てるには、学校だけに任せず、家庭で「どの言語に、どのくらいの時間を使うか」を考えておくことが役立ちます。インターに通いながら日本語を補う方法もあれば、日本の学校に通いながら英語に触れる時間をつくる方法もあります。
| 方法 | どんな家庭に合いやすいか | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| インター+日本語の補習授業校・教室 | インターに通いながら日本語の読み書きを保ちたい | 週末の時間と送迎の負担 |
| インター+家庭での日本語学習 | 家庭で読書・漢字の時間をとれる | 続けるには家族の協力が必要 |
| 一条校の国際系・IB校 | 日本の卒業資格を得ながら国際的な学びをしたい | 英語で学ぶ時間は学校ごとに違う |
| 日本の学校+放課後の英語環境 | 日本語と日本の教科を土台に英語を伸ばしたい | 英語に触れる時間はインターより少なくなりやすい |
06「親のエゴでは?」と迷ったときの考え方
「英語を話せる子に育ってほしい」「自分ができなかった経験をさせたい」という気持ちに気づいて、「これは子どものためなのか、親のエゴなのか」と迷う方もいます。
親の願いがあるのは自然なこと
子どもの教育を選ぶとき、親の願いや価値観が入るのは自然なことです。日本の私立校を選ぶときも、習い事を選ぶときも、親の考えは反映されています。迷うのは、それだけ真剣に考えている証拠です。
大切なのは、親の願いだけで決めるのではなく、子どもの性格や反応も判断材料に入れることです。体験入学や見学で子どもがどんな表情をしていたか、新しい環境や英語にどう反応しているかを見てみましょう。
途中で見直すときの選択肢と制約
入学後に「合わないかもしれない」と感じたときに、見直す道があるかを知っておくと、決断の重さが少し軽くなります。ただし、一条校でないインターから日本の学校に移る場合は、学年や時期によって扱いが違い、特に中学校以降は制約が出ることがあります。見直しの可能性も含めて、「一条校」の記事で扱いを確認しておきましょう。
家族で話し合っておきたいこと
決断の責任を一人で背負わないためにも、入学前に家族で次のことを話し合っておくと安心です。
- 費用:何年間通わせるか、家計が変わったときにどうするか
- 言語:家庭で日本語をどう支えるか、誰が担当するか
- 進路:中学・高校・大学をどう考えるか、日本の学校に移る可能性はあるか
- 役割:送迎・行事・学校とのやりとりを誰が担うか
07向いている家庭・向いていない家庭のチェックリスト

最後に、インターナショナルスクールが向いている傾向と、慎重に考えたい傾向をまとめました。当てはまる数が多いかどうかで、わが家に合うかの目安にしてみてください。
向いている傾向
- [ ] 海外の大学への進学など、進路の見通しがある
- [ ] 家庭で日本語の読み書きを支える時間と担い手がいる
- [ ] 12年間(または予定の期間)の費用を続けられる見通しがある
- [ ] 保護者が英語での連絡や学校の行事に関われる
- [ ] 子どもが新しい環境や人との出会いを楽しめる
慎重に考えたい傾向
- [ ] 日本の中学受験も視野に入れている
- [ ] 家庭で日本語を支える人や時間が確保しにくい
- [ ] 費用の見通しが立たない、途中で負担が増える可能性が高い
- [ ] 「とりあえず英語ができれば」と、目的がまだはっきりしていない
慎重に考えたい傾向に当てはまるからといって、インターを選んではいけないわけではありません。その点について、入学前にどう備えるかを家族で話し合えば、後悔の可能性を減らすことができます。
別の選択肢も比べてみる
「全日インターに通うか、通わないか」だけが選択肢ではありません。
- 幼児期だけインターナショナルスクールに通う
- 一条校の国際系・IB校を選ぶ
- 日本の学校に通いながら、放課後や長期休みに英語の環境をつくる
長期休みのサマースクールや放課後のアフタースクールで英語に触れる方法は、こちらで紹介しています。
あわせて読みたいインターナショナルスクールのサマースクールとアフタースクールの選び方
よくある質問
Qインターナショナルスクールは意味ない?
目的によって変わります。英語で学ぶ環境、多文化の中での経験、海外大学への進路など、インターならではのものを目的にしているなら、得られることは多いと考えられます。一方、目的がはっきりしないまま入学すると「意味がなかった」と感じやすくなります。
Qインターに通うと日本語が話せなくなる?
家庭で日本語を使っていれば、会話の力は保たれることが多いです。課題になりやすいのは、漢字や文章の読み書きです。日本語の授業の有無を確認し、家庭で読み書きの時間をとる、補習授業校に通うなどの工夫をしましょう。
Q途中で日本の学校に戻れる?
一条校でないインターから日本の学校に移る場合、小学校段階と中学校以降で扱いが異なり、特に中学校以降は制約が出ることがあります。入学前に「一条校」の記事で扱いを確認しておくことをおすすめします。
Q日本人が多い学校は避けたほうがいい?
割合だけで判断する必要はありません。校内の言語のルールや、英語が母語でない子どもへの学習支援の体制を見て判断しましょう。見学で子どもたちの様子を見ると、雰囲気がつかみやすくなります。
Q後悔しないために入学前にやることは?
12年間の総額の試算、一条校かどうかと進路の確認、日本語の授業の有無と家庭での言語計画、在籍構成と英語の学習支援の確認、保護者の関わり方の確認、の5つがおすすめです。この記事のチェックリストを持って見学に行ってみてください。
まとめ
- インターナショナルスクールで後悔しやすい理由は、費用、進学の制約、日本語、環境のイメージ違い、親の負担の5つが中心で、多くは入学前に確認できます
- メリット(英語で学ぶ環境、探究型の学び、国際的な進路)とデメリットを、家庭の目的・言語・費用・進路の4つの軸で照らし合わせましょう
- 「親のエゴでは」と迷うのは真剣に考えている証拠。子どもの反応も判断材料にし、家族で話し合っておくと決断の重さを分け合えます
- 迷ったら、期間を絞る、一条校の国際系を選ぶ、放課後に英語環境をつくるなどの選択肢も比べてみてください
後悔しないためにできることの多くは、入学前の確認と家族の話し合いです。まずはチェックリストをもとに、気になる学校の説明会で聞くことを書き出してみてください。



