インターナショナルプリスクールとは?
インターナショナルプリスクールとは、主に幼児期(0~5歳程度)の子どもを対象に英語など多国語環境で保育・教育を行う施設のことです。一般的な日本の認可保育園や幼稚園とは異なり、日常的に外国語でコミュニケーションを図る点が大きな特徴です。カリキュラムも国際的な教育メソッドに基づくことが多く、歌や遊びを通じて自然に英語を身につけられる環境が整っています。また、日本の幼稚園が半日制であるのに対し、インターナショナルプリスクールでは延長保育を含め長時間の保育に対応しているケースも多く、共働き家庭でも利用しやすいよう配慮されています。
インターナショナルプリスクールのメリット
インターナショナルプリスクールには、以下のようなメリットがあります:
- 幼児期からの英語 immersion(浸透):日常生活をすべて英語で過ごすことで、小さい頃からネイティブな発音や表現に慣れ親しむことができます。幼児期は言語習得能力が高いため、自然な形で英語の基礎が身につきます。
- 国際的な感覚や多文化理解:外国人の先生や多国籍の友だちと触れ合うことで、異なる文化や習慣への理解が深まります。これは将来グローバルに活躍するうえでの土台作りにもつながります。
- 少人数で手厚い保育:インターナショナルプリスクールは定員が少なめで、子ども一人ひとりに目が行き届きやすい傾向があります。英語が話せない子でも安心して溶け込めるよう、日本人スタッフがサポートする園も多く、安全面・情緒面でのケアが手厚いと言われます。
- 創造的で柔軟なカリキュラム:日本の画一的な教育と比べ、遊びや探究を重視した自由度の高いカリキュラムが導入されている園もあります。音楽やアート、身体を使ったアクティビティなどを通じて、子どもの個性や創造性を伸ばす工夫がされています。
インターナショナルプリスクールのデメリット・注意点
一方で、インターナショナルプリスクールにはデメリットや注意すべき点も存在します:
- 費用負担が大きい:最大のハードルは費用面で、日本の一般的な保育園と比べて月々の保育料が非常に高額です。入園金や教材費など初期費用もかかるため、総合的な経済負担は無視できません。
- 日本語環境が少ない:保育中は基本的に英語で過ごすため、日本語の発達が遅れるのではないかと心配する保護者もいます。家庭での日本語フォローや、日本語の絵本読み聞かせなど工夫が必要になるケースもあります。
- 小学校進学時のギャップ:インターナショナルプリスクールから日本の公立小学校に進む場合、生活習慣や言語面でギャップを感じることがあります。英語に慣れすぎて日本語の学習に苦労したり、日本の集団生活ルールに戸惑う可能性も考慮しましょう。
- 立地・送迎の負担:都市部に集中していることが多く、通える範囲に園がない場合もあります。そのため送迎に時間がかかったり、送り迎えの負担が大きくなることもデメリットの一つです。特に東京では交通状況によって通園時間が読みにくい点に注意が必要です。
- 公的支援が限定的:多くのインターナショナルプリスクールは文部科学省認定外の無認可施設に該当するため、公的補助や無償化の対象外となるケースがあります 。後述のように一部補助制度はありますが、認可保育園ほど手厚くない点は留意しましょう。
インターナショナルプリスクールにかかる費用・料金相場
インターナショナルプリスクールを利用する上で気になる費用面について、相場と補助制度の両面から解説します。
月額費用の相場
一般的にインターナショナルプリスクールの月額料金は15万~30万円程度とされています。都市部(特に東京)ではこの傾向が顕著で、設備や講師陣が充実した高級スクールでは月額30万円を超えるところもあります。一方で比較的安価な園でも月額10数万円はかかるため、いずれにせよ公立の認可保育園(家庭の所得にもよりますが月額数万円程度)と比べると大幅に高い水準です。例えば東京都内のある公立保育園では5日間・長時間保育でも月額数万円なのに対し、インターナショナル園では同等の日数で約15万~20万円前後というケースも見られます。このように、年間にすると数百万円規模の学費負担を考慮して計画を立てる必要があります。
公的補助・無償化制度の利用
高額な費用負担を少しでも軽減するために、国の幼児教育・保育無償化制度など利用可能な補助について知っておきましょう。2019年10月から開始された無償化制度により、認可外の保育施設であっても各自治体の基準を満たした施設であれば、3歳から5歳児は月額3万7千円までの保育料が無償(補助)となります 。多くのインターナショナルプリスクールもこの対象施設となっており、自治体に申請することで一定額の補助金を受け取ることが可能です。ただし補助上限を超えた分は自己負担となるため、月15~30万円かかる園では差額の10万~20数万円は引き続き保護者の負担です。0~2歳児については基本的に無償化の対象外(※住民税非課税世帯を除く)である点にも注意が必要です 。いずれにせよ、入園前に自治体へ問い合わせて補助の可否や手続きを確認しておくと安心です。
東京のインターナショナルプリスクール事情
首都圏、とりわけ東京にはインターナショナルプリスクールが数多く存在しています。外国人ファミリーが多い港区・渋谷区・目黒区などを中心に、多彩な特徴をもつインターナショナルプリスクールが点在しています。東京都内だけでもこうした園は数十園規模にのぼり、近年はグローバル教育志向の日本人家庭の増加に伴い、その数はさらに増えていると言われます。
東京のインターナショナル保育園には、海外の学校法人が運営する園から、日本企業や個人が設立したオリジナルの園まで、運営母体もさまざまです。例えば、アメリカ大使館が関与する「American Embassy Preschool」や三井不動産グループの「Mitsui Gardens International Preschool」(港区六本木)など、企業・団体が運営する有名園があります 。また、インターナショナルスクール本校に付属する幼児部として開設されているケースもあり、**聖心インターナショナルやASIJ(アメリカン・スクール・イン・ジャパン)**など名門インターナショナルスクールは幼稚園・保育園クラスから受け入れを行っています。これら有名校は施設や教育水準が高い反面、入園競争率も高く、募集枠が限られるため希望者は早めの情報収集と対策が必要です。
一方で、都内各地には地域密着型の小規模インターナショナルプリスクールも多数存在します。たとえば、モンテッソーリ教育を取り入れたインターナショナル園や、バイリンガル保育士によるアットホームな英語保育園など、特色は園ごとに異なります。自宅や勤務先から通いやすい範囲で選択肢を探し、各園の教育方針や雰囲気を見比べてみることが大切です。
インターナショナルプリスクールを選ぶポイント
実際にインターナショナルプリスクールへの入園を検討する際には、以下のポイントに注意して園を選びましょう:
- 教育方針・カリキュラムの内容:園によって英語教育のスタンスやカリキュラムは様々です。遊び中心なのか、読み書きなど学習要素をどの程度取り入れているのか、モンテッソーリなど特殊な教育法を採用しているかなどを確認しましょう。自分の子どもの個性や家庭方針に合った教育内容かどうかが重要です。
- 講師・スタッフの質と環境:担任の先生がネイティブスピーカーか、日本語対応スタッフが常駐しているかなど、言語面のサポート体制をチェックします。保育士の資格や経験年数、子どもへの接し方も大切なポイントです。また園内の安全対策(セキュリティや衛生管理)や設備の充実度も忘れずに確認しましょう。
- 費用面とスケジュールの現実性:入園料・保育料のほか、制服代や給食費、延長保育料など諸費用の総額を把握します。そのうえで家庭の予算と見合うか検討が必要です。また保育時間や送迎方法も家庭の生活リズムに合っているか確認しましょう。共働きで長時間預けたいのに延長保育が無い、送迎バスが無く遠距離通園になってしまう等の場合は負担が大きくなります。
まとめ
インターナショナルプリスクールは、幼児期から質の高い英語環境と国際感覚を子どもに提供できる魅力的な選択肢です。その一方で費用の高さや日本語習得面などのデメリットもあり、各家庭の状況や教育方針によって向き不向きがあります。東京を中心に多くのインターナショナルプリスクールが存在し、多様なプログラムが提供されていますので、興味がある場合は複数の園を見学して比較検討すると良いでしょう。費用面では公的補助制度の活用も視野に入れつつ、長期的な教育プランの中で無理のない選択をすることが大切です。インターナショナルプリスクールでの経験は子どもの将来にプラスとなる貴重な体験になりますが、家庭でのフォローや小学校以降の方針も見据えて、総合的に判断してあげてください。各ご家庭にとって最適な環境を選び、子どもたちが伸び伸びと成長できる保育園生活をサポートしていきましょう。